THINKTANK / BLACKSMOKER RECORDS
WHAT'S NEW

Murder Scene
Killer Bong


BSWT0011

NEW SHIT FROM KB! THIS ONE IS SPECIAL DEDICATION FOR MR.MASAIKO TOGASHI

そこにOSAKAの猥雑さはあったのか?TOKYOの喧騒はあったのか?MOSCOWの抑圧はあったのか?未だ謎に包まれる都市DUBシリーズ3部作の番外編とも言えるKILLER BONGの最新インスト集は、どうやら先になくなった天才ドラマー/フリージャズの巨人、富樫雅彦氏への追悼がテーマであるらしい。実際、今作は氏が遺した全編パーカッション・ソロによる名盤『SCENE』を再構築した物である。しかしながら、タフで野太い低音に複雑に絡み付くポリリズム、ノイジィに突き抜けて行く上物、才気、いや狂気?が奔しる、イカレたKBワールド全開のキラー・インストの数々はここでも健在であった。
『大きなお世話』と激怒するかも知れない天国の巨人へ捧げたレクイエム。R.I.P.



TRACK LISTING

1 Murder Scene
2 Scene: And He Left (Track 75)
3 The Way Hears From Diagonal Line
4 It's Purple
5 Da Encounter With Mr. Togashi
6 A Fem Green's Bird Was Thrown Away In The Sky
7 The Side Surface Of Weeeed
8 The Letter Had Not Been Sent For A While
9 Chuck Off and Bop It
10 It Paid Out With A Feeling Of White Corydoras
11 It Gets On A Dirty Cab
12 In The Smell Of Sweet Rain
13 Someone Sees Mr.Togashi Turns Wall Street Even Now

自由であるが故、無垢な魂が共鳴する。
焚き続けていた鎮魂の煙に召還され、冥界よりダウン・ロードされた天才ドラマー富樫雅彦の魂が、キラー・ボングのMPC上で起動し、内部の基板を電気的に駆け巡り、マシンの内部、隅々まで、みっしりと行き渡った。不敵な笑みを浮かべながら、ジョグ・ダイヤルを回すKBの瞳の色が緑に点灯し、パッドを操る指が、次第にMPCにめり込んでいく。冥界よりの富樫の魂と、KB、そしてドラム・マシーンとが解け合い始める。そしてそれらの境界はあいまいなものとなり、スタジオの片隅で、霊魂と人と機械のインターフェイスは成立した。
「キック・ペダルを踏ませてくれよ」富樫のゴーストが、ヘッドフォンの中で囁く。
ディジタルに歪んだ音を鳴らして、KBが「ああ」と脳で応える。上半身だけでもドラムを叩き続けた男の魂は、まさに自由であった。なればこそ、彼はフリー・スタイルに生き、死んだのだ。
“サンプリング”という音のカケラでフリー・スタイルを表現する男、KBは、富樫の魂を慈しんだ。そして彼の霊魂を取り込んで、鎮魂のビートを叩き出し始めた。それはまるで、何かを打ち据える様に。音の鉄槌で、何かを打ち据えるかの様に。ポップ・ミュージックを・・・。商業主義を・・・。もう死んでしまった精神を・・・。腐ったプライドを・・・。自分自身を・・・。富樫雅彦までもを・・・。

 実質上、日本で最初のフリー・ジャズ・ドラマーであり、事故により、30歳で下半身の自由を失ってしまった悲運の天才パーカッショニスト富樫雅彦。腕だけで演奏出来るドラム・セットを考案して、ビートを操り続けた。2007年、逝去。享年69歳。
 ジャパニーズ・ヒップホップ界の鬼子、キラー・ボング。最早、誰も彼の音楽をヒップホップと呼ぶ者はいない。彼自身もそう思ってない。実際、違う。だが、皮肉にも、フリー・スタイルに生きる彼の精神の中にこそ、ジャズが息づき、ヒップホップが脈動しているのだ。
 その2人が、時空を超えて出会った。生きている間に巡り会ってしまったら、憎しみあっていたかも知れない2人だ。
富樫の魂に触れ、KBは、その音楽を解体し、一寸の隙のないヒップホップとして再び組み上げた。そして富樫雅彦の名作アルバム「SCENE」(場面)は、キラー・ボングの最新作「MURDER SCENE」(殺人現場)として再生した。いや、再生ではない。新たに出現したのだ。新たな人格を持って、、、。

 このアルバムは、そういった音楽を欲している少数の人のために作られたものである。

2008年3月 名古屋にて 茂呂尚浩